川中島合戦・広重

Ｃ'ｓ Ukiyo-e Museum
川中島合戦
（NO.1）歌川広重　信州川中嶋合戦之図　大判三枚続　天保十四年～弘化四年（1843-53）　佐野屋喜兵衛

故人春亭画　応需広重模写　この作品は、風景画の大家・広重の川中島合戦である。作中に『故人春亭画　応需広重模写』とある。すなわち、勝川派の絵師・春亭の作品を広重が求めに応じて模写したと書き入れているのである。春亭の作品は、川中島合戦中の一騎打ちを描く典型的構図である。それを風景画風にリメイクしたのが、本作品ということなのであろう。　国芳にも、三代豊国にも同様の構図があることからもわかるように、歌川派の共有財産となっている本作品の構図であるが、その継受の過程を明らかにするものとして、大変興味が惹かれる。　川中島合戦の浮世絵のおもしろさは、武者絵であると同時に、千曲川を中心とする風景画とも理解できる点である。背景の山並みや川筋の表現は、全くの想像ではなく、確実に実写に基づいていることは、当地の今日の自然風景からも推測される。　ただし、それは広重がスケッチしたものではないことは言うまでもなく、他に原資料があったことを物語るのが上記の浮世絵ということである。これは、広重のその他多くの作品についても言えることとして理解していただきたい。
以下、順次掲載予定。楽しみにお待ち下さい。
NPO長野浮世絵研究会